「餞別が一人、〇〇〇円なるよ」
職員同士の会話がふと耳に入った、その言葉。
ああ、また誰かが辞めるんだ──
そう気づいた瞬間、胸の奥がひゅっと冷たくなるのを感じました。
「誰? まさか…」
そう思ったら、やっぱり。
一緒に頑張ってきた、あの同僚の名前でした。
先月も2人が辞めたばかり。
「もうこれ以上は続かないよね」と自分に言い聞かせていた矢先のことでした。
気づけば私は、介護の仕事を始めて10年が経ちました。
いろんな人と出会って、そして、いろんな人を見送ってきました。
その数、たぶん20人近く。
ひとり、またひとりと去っていく背中を見送りながら、どこかで毎回、自分の心の一部が削られていくような感覚がありました。
「私、何やってるんだろう」
「このまま続けて、私は大丈夫なんだろうか」
そんなふうに思ってしまう日は、正直、少なくありません。
それでも私が続けているのは、小さな“ありがとう”や笑顔の日々が確かに心を支えているからです。
「ありがとう」のひとこと。
「今日も助かったよ」の笑顔。
ちょっとした会話の中で、心がほっとしたあの瞬間。
目立たないけど、確かにあったあたたかい時間たちが、今の私を、ここまで連れてきてくれたのだと思います。
ショックを受けたっていい。
悲しくなったっていい。
それは、頑張ってきた証拠です。
誰かを大切に思ってきた証しです。
そして何より、
それでも前を向きたいって思えているあなたは、
もうすでに、ちゃんと前に進んでいる。
人の出入りが多い職場で、自分だけ取り残されたような気持ちになることもあるけれど、あなたがそこにいること、それだけで誰かの安心になっている。
今日もなんとかやり過ごせた自分に、そっと「よくやったね」と声をかけてあげてください。
40代って、いろんなことが重なって、ふと立ち止まりたくなる年齢ですよね。
だけど、あなたが選んできた毎日は、ちゃんと意味がある。
そしてこれから先、あなたの時間がもっとやさしく、あたたかく流れていきますように。
今日は心が少し疲れているなら、深呼吸して、少しゆっくりしてくださいね。
誰かのためじゃなく、自分のために。
読んでいただき、ありがとうございました!