注文を間違えただけなのに、どうしてこんなに空気が重くなるのか──。
日常の中でふと立ち上がる“無言の怒り”って、けっこう面倒くさい。
でも今回は、それを超えてちょっと笑ってしまった話です
。
うどんを頼んだだけ、のはずだった
その日、私は義母と夫と3人で某ショッピングモールに出かけました。
時間が午前11時過ぎに義母はうどん、私もうどん、夫は──なぜかお好み焼き。
「珍しいな」と思っていたら、どうやらそれ、私に食べてほしくて頼んでくれていたらしいのです。
……ごめん、ふつうに自分のうどん頼んじゃった。
夫、無言。
というか、テーブルかけのイスに座っている夫の目が私ににらんでる。怖い。
わりと、しっかりめに。
「え? 怒ってるの?」
声には出せず、ただ黙ってうどんをすすりました。
義母の気づき、そしてフォロー
私の右側に座る義母も、すぐ気づいていました。
夫の不機嫌が空気にじわじわとにじみ出ていることに。
でも、その場では何も言わず。
さすがは母。
火に油を注がない“技”を持っています。
そして昼食後、そっと私の耳元で──
「なんで○○(夫)あんなに短気になるの、ごめんね。。本人には言わないでね」
やさしい。
やさしすぎる。
私は思わず、心の中で義母に正座でお辞儀しました。
店の裏で告白──じゃなくて説教だった
夫がすたすた歩き始めたので、何も言わずについていきました。
店の奥をぐるっと回って、気づけばショッピングモールの裏の建物の一角へ。
その瞬間、ふと思いました。
「え、これ……学生のときの告白シーンじゃない?」
男子が女子を校舎裏に呼び出して、「好きです」って言うあの場面、まさにそれ。
頭の中では、青春ドラマの主題歌が流れてました。
が、現実は──
「なんで俺がわざわざ……」
「せっかく……なのに……」
「お前が……」
ただの説教。
笑っちゃいけないのに、笑ってしまった私を誰かほめて。
そのあとは何事もなかったように帰宅
夫の説教を受けたあとの私と、いつもの優しい義母と合流しました。
そして、黙ったままの夫。
3人で屋上に駐車している車に乗って、何も言わずに帰路へ。
不思議と気まずくもなく、静かに「いつも通り」に戻っていくあの空気。
夫婦って、そういうところありますよね。
たった一杯のうどんから始まった物語
怒られることなんて、この年になるともうあまりない。
でも、うどんを頼んだだけでショッピングモールの裏に呼び出されるなんて──。
人生、まだまだイベントありますね。
次からは、
「私が○○〇を食べるよ」
「あなたは何が食べたい?」
って、先に聞いておこうと思います。
そして夫には、
「担々麺が食べたいときは、そう言ってください」と
ちゃんと本人に確認してから頼もうと思います。
あとがき
怒っているのに笑ってしまう。
怒られているのに妄想してしまう。
そんな自分に呆れつつ、「でも、まぁいっか」って思える日って、
案外、わるくない。